これまで拙著『平和へのはじめの一歩』から、「自分からできる」平和づくりの六つのアイデアを挙げてみました。続いて「人と人の間でできること」を考えてみましょう。
「自分と他者の関わりのみならず、他者同士の間に私たちが入っていく時に、『和解』に寄与する存在となることができる。そのような道筋を考えてみたいのです」(62頁)。「そこで、私たちが人と人の間でできる一つ目に、『間に入る』ということを挙げたいと思います。互いに向き合えない人々、言
葉を交わせない人々、敵意と怒りに支配されている人々、不信と猜疑にかられている人々の間に、時にはおせっかいと言われても入って行き、和解のためにとりなし、交渉し、説得し、折り合いを付ける存在として、真の赦しを経験したキリスト者の存在は貴重なものだと思うのです。もちろん何の備えや省みもなく、自分なら仲介者になれると思って飛び込んでいけばよいということではないでしょう。・・・自分自身が『人と人の間』に入っていける状態かどうかを自分の心と向き合い、場合によって、自分よりもふさわしい仲介者に委ねることも必要でしょう」(63頁)。
その上で「自分がそこに介在することで、何かしら果たせる役割があるはずだと思うのです。・・・それまで親しかった人同士がちょっとしたことで仲違いをしてしまう。口もきけなくなってしまう。何かのきっかけがあれば仲直りできる可能性があり、どちらも本当は解決と和解を望んでいるのに、どちらも『自分から』最初のアクションを起こすことにためらいがある。そんな時に・・・お互いのつながりが断ち切られてしまわないように、とにかく両者の間をつなぐ役割があるのではないでしょうか」(64頁)。
(*『いのちのことば』10月号に、メノナイト帯広教会の伽賀由牧師による書評が掲載されています。ご覧ください。)