『平和へのはじめの一歩』で、自分からできる平和作りの一番目として「自分の名前を告げる」こと、自己紹介の大切さを挙げました。「人が他者に恐れを抱くのは、その人がだれなのかがわからない時です。知らない人と隣り合わせになる。そんな時・・・まず自分から名前を名乗ることは、相手とのある関係性を作る一
つのきっかけになっていくでしょう。・・・個人情報が悪用される時代なので、ある程度の自己防衛は必要なのでしょうが、その反面、匿名性が拡がり、お互いにお互いを知らないまま、ご近所づきあいもままならないということもあります。教会でも会員名簿や連絡網などを作らなくなっているところも増えているのでは
ないでしょうか」(39-40頁)。
私たちも4月に多磨に来てから、教会や牧師館の近隣の方々にご挨拶に回り、また毎朝、教会と牧師館との往復でお会いする方々にお声を掛けることを心がけています。お名前を覚えてくださる方はまだ多くはありませんが、それでも「多磨教会の牧師」という認知は広がっているように思います。こうした小さな取り
組みを大切にしたいと思うのです。「自ら進んで相手に名前を告げること。それは『私はあなたに自分を開いています』という意思表示であり、相手に対して自分が匿名の存在でないことを証しする大事な機会です。・・・匿名の存在に人は恐れを抱き、また匿名の存在になるとき、人は恐れを与える存在にもなってしまう
のです。ですから、まず自分の名前を告げること。自分が何者であるかを名乗り、自分を相手に対して開くことが恐れを越える第一歩になるでしょう」(40頁)。
多磨教会の良い慣習として、教会員の方が「ネームプレート」を着けてくださることがあります。これも小さなことのようですが、大切な平和づくりと言えるのではないでしょうか。